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アメリカのジョー・バイデン大統領が日本製鉄によるアメリカの大手鉄鋼メーカーのUSスチールの買収を禁止する行政命令を発表し、大きな騒動に発展している。

美国总统乔·拜登发布行政命令，禁止日本制铁收购美国大型钢铁制造商美国钢铁公司，此举引发了轩然大波。

日鉄とUSからスチールは反発強める
日本製鉄とUSスチールは、今回の命令を「実質的な調査に基づかず、バイデン政権の政治的目的を満たすためにあらかじめ決定されたもの」とし、「アメリカ政府が、アメリカの利益につながる競争を活性化する本買収を拒否し、同盟国である日本国をこのように扱うことは衝撃的であり、非常に憂慮すべきこと」とする共同声明を発表。
USスチールのデビッド・ブリット最高経営責任者（CEО）は、大統領の判断は「恥ずべきもので、腐敗している」などとコメントした。
両社は1月6日、日本製鉄によるUSスチールの買収計画を阻止したとしてアメリカ政府を提訴。バイデン大統領が「全米鉄鋼労働組合の支持を得て、自身の政治的目的を達成するために法の支配を無視したこと」などを訴訟で明らかにするという。

日本制铁和美国钢铁公司强烈反对
日本制铁和美国钢铁公司在一份联合声明中表示，此次命令“并非基于实质性的调查，而是为了满足拜登政府的政治目的而预先决定的”。他们认为，“美国政府拒绝这项有助于激活美国利益的竞争的收购案，以这种方式对待盟友日本，令人震惊且极为令人担忧。”
美国钢铁公司首席执行官大卫·布里特评论称，总统的决定“可耻且腐败”。两家公司于1月6日提起诉讼，指控美国政府阻止日本制铁收购美国钢铁公司。他们在诉讼中揭露拜登总统“为了获得全国钢铁工会的支持，达到自身政治目的而无视法治”等行为。

石破茂首相は、「なぜ安全保障上の懸念があるのか」と述べ、アメリカ政府に強く説明を求めるなど、日米関係に小さくない亀裂を生じさせる出来事となった。

石破茂首相表示，“为什么会有安全保障方面的担忧？”并强烈要求美国政府对此作出解释，此举在日美关系中引发了不小的裂痕。

重要なのは多くの国民が感情的に納得できるかどうか
これらの買収計画をめぐる一連の動きは、ウォール・ストリート・ジャーナルが「アメリカの製造業と安全保障を損なう経済的な自虐行為だ」と批判したように、行き過ぎた保護主義の産物といえるものであり、まさに産業政策が「政争の具」にされる事態といえるだろう。
ポピュリズムの観点から見れば、また違った風景が見えてくる。政治家が人気取りのために「実益」よりも「世情」を優先する志向の先鋭化である。
合理的に考えてどのような利益や損失があるかどうかを見極めることなどよりも、多くの国民が感情的に納得できるかどうかのほうが重要になるからだ。
これは理屈ではない。道徳心理学者のジョナサン・ハイトが提唱する道徳基盤理論が分析の助けになる。彼は『社会はなぜ左と右にわかれるのか 対立を超えるための道徳心理学』（高橋洋訳、紀伊國屋書店）で、人間の道徳心は6つの道徳基盤によって構成されていると説いた。
「ケア」「公正」「自由」「忠誠」「権威」「神聖」だ。それぞれが進化の過程で獲得された認知モジュール（脳内にある小さなスイッチのようなもの）で、さまざまな文化ごとにその内容は異なっているという。
今回の買収騒動に最も関係があるのは、「神聖」のモジュールである。もともとは病原菌などの「汚染を避ける」という適応課題によって出現したとされ、それが概念的な意味を含む「不浄の忌避」へとその範囲が拡大していったものだ。
ハイトは「〈神聖〉基盤は、悪い意味でも（汚れている、あるいは汚染しているので）、良い意味でも（神聖なものを冒瀆から守るために）、何かを『手を触れてはならないもの』として扱えるようにする」と述べている（同前）。
恐らく保守的な思想を持つアメリカ人にとって、この神聖モジュールが作用している対象がUSスチールなのではないかと推測できる。これらのモジュール＝スイッチが非常に厄介なのは、思考以前の深い情動レベルの働きだからである。

关键在于是否能在情感上赢得大多数国民的认同。围绕这些收购计划的一系列动向，如《华尔街日报》批评为“损害美国制造业和国家安全的经济自虐行为”，可谓是过度保护主义的产物，正如产业政策成为“政治争斗工具”的一种情形。
从民粹主义的角度来看，情况又有所不同。这是政治家为了迎合民意，而愈发倾向于优先考虑“社会情绪”而非“实际利益”的表现。比起理性地考量利益或损失，能否在情感上赢得多数国民的认同显得更加重要。
这不是理性的问题。道德心理学家乔纳森·海特提出的道德基础理论对此进行了分析。他在《社会为何分裂为左派和右派：超越对立的道德心理学》（高桥洋译，纪伊国屋书店）中指出，人类的道德心由六个道德基础构成，分别是“关怀”“公正”“自由”“忠诚”“权威”和“神圣”。这些基础是在人类进化过程中获得的认知模块（类似于大脑中的小开关），其内容因文化的不同而异。
此次收购风波中最为相关的是“神圣”模块。它最初被认为是为了避免病原体等“污染”的适应性问题而出现的，后来其范围扩展到包含概念性意义的“回避不洁”。海特指出，“神圣基础能在好的意义上（为了保护神圣之物免受亵渎）和坏的意义上（因其被认为是不洁或污秽）使我们将某些事物视为‘不可触碰’”（同上）。
或许对于持保守思想的美国人来说，这一神圣模块所作用的对象正是美国钢铁公司。这些模块或开关的麻烦之处在于，它们在思考之前就已在深层情感层面发挥作用。

つまり、ある行為についての評価（悪いことなのか、良いことなのか）を直観的に方向づける影響力を持っているのだ。これは言い換えると、その判断がほとんど無意識に行われていることを示唆している。
ハイトは、神聖モジュールが反応しやすいものについて、「もの（国旗、十字架など）、場所（メッカ、国家の誕生にまつわる戦場の跡など）、人物（聖者、英雄など）、原理（自由、博愛、平等など）」といった例を挙げ、「神聖の心理は、互いに結束して道徳共同体を築く方向に人々を導く。
道徳共同体に属する誰かが、その共同体の神聖な支柱を冒瀆すれば、集団による情動的かつ懲罰的な反応がきわめて迅速に起こるはずだ」と指摘している（同前）。

也就是说，对于某种行为的评价（是好还是坏）具有一种直觉性的导向影响力。这意味着这种判断几乎是在无意识中进行的。海特指出，神圣模块容易被某些事物触发，例如“物品（国旗、十字架等），地点（麦加、国家诞生相关的战场遗址等），人物（圣人、英雄等），原则（自由、博爱、平等等）”。他还指出，“神圣的心理引导人们团结一致，建立道德共同体。如果道德共同体中的某个人亵渎了该共同体的神圣支柱，那么集体的情感性和惩罚性反应会非常迅速地发生。”

USスチールは「共同体の神聖な支柱」
トランプ次期大統領は、自身のSNSで「かつて偉大で強力だったUSスチールが日本製鉄に買収されることに全面的に反対する」と投稿したが、バイデン大統領も以前 「USスチールは1世紀以上にわたりアメリカの象徴的な鉄鋼会社であり、国内で所有され、運営されるアメリカの鉄鋼会社であり続けることが極めて重要だ」と発言している。
USスチールはアメリカの力と繁栄を象徴する「共同体の神聖な支柱」なのであり、それが他国の手に渡ることは冒瀆に近い行為になり得るのだ。
21世紀に入っても、この神聖モジュールが国の威信やナショナルアイデンティティを体現する「もの」や「場所」などにしっかりと根を張っているだけでなく、依然としてその深層にある感情を目覚めさせるポテンシャルを秘めていることが改めて浮き彫りになったといえる。
けれども、なぜ同盟国による買収計画で、しかも中国との競争が念頭にあるにもかかわらず、かたくななまでに拒絶するのだろうか。BBCによれば、「アメリカ政府は1990年以降、外国企業による買収を8件しか阻止していない。そのほとんどは過去10年間のもので、中国企業が関与していた」という。
可能性としては、先の国の威信やナショナルアイデンティティにひも付いている神聖モジュールが、社会経済状況の悪化とともに過剰反応するようになったことが考えられるだろう。そうなると、今後多様な分野で感情的な反発からハレーションを引き起こすことが増えていくかもしれない。
ポピュリズムにおいては、支持者を拡大するために対立候補の政策を“盗む”ことが頻繁に見られる。要するに、保守層にもウイングを広げたいのだ。
もはや単なる人気取りでしかないので、これまでの政治的なスタンスとの整合性は軽視される。そして、最悪の場合、真に国益となるのか、自国民のためになるかといった実際上の問題は考慮されなくなる恐れがある。

美国钢铁公司是“共同体的神圣支柱”。
即将上任的总统特朗普在其社交媒体上表示，他“完全反对曾经伟大而强大的美国钢铁被日本制铁收购”。拜登总统此前也曾表示，“美国钢铁公司在一个多世纪以来一直是美国象征性的钢铁公司，继续作为一家在国内拥有和运营的美国钢铁公司至关重要。”
美国钢铁象征着美国的力量与繁荣，是“共同体的神圣支柱”，若落入他国之手，可能被视为一种亵渎。即便进入21世纪，这种神圣的象征依旧在体现国家威信和国家认同的“事物”或“地点”上扎根，并且仍然能够唤醒潜藏的情感。这一事实再次被凸显出来。
然而，为什么即使在与中国竞争的背景下，对于盟国的收购计划，美国也如此坚决地反对呢？据BBC报道，“自1990年以来，美国政府仅阻止了8起外国企业的收购案，其中大部分发生在过去十年，且涉及中国企业。”
可能的解释是，与国家威信和国家认同相关的神圣象征在社会经济状况恶化的同时变得过度敏感。因此，未来可能在各个领域因情感反弹而引发更多的冲突。
在民粹主义中，为了扩大支持者群体，常常会“偷取”对手的政策。换句话说，他们希望将影响力扩展到保守派。这已不再是单纯的争取人气行为，因此过去的政治立场的一致性被忽视了。在最糟糕的情况下，可能会忽略是否真正符合国家利益或是否对国民有利的实际问题。

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